元優等生のRe:スタートものがたり

元優等生の30代後半までの葛藤と、人生のRe:スタートを決意したその後の日々や想いを綴っています。

夜中の製図室

高専では、

毎年、秋に、『高専祭』というイベントが開催されました。

まぁ文化祭ですね

4年生では各学科ごとに研究発表を行うのが定番でした。

 

わたしは、それをすごーーく楽しみにしていました。

毎年、先輩たちが本当に楽しそうにやっていたからです。

それまでは大体、コンクリートとかについて研究して、

その研究結果をパワポでプレゼンする感じでした。

「機械」「電気」「化学」の各学科もそれぞれの分野について

研究し、パワポでプレゼンしていました。

 

わたしは、せっかく「建築」学科なのだから、

何か建築として造ったらどうかと思っていて、まわりの子に相談していました。

「建築」に対していろいろな熱量の子がいる中で、

それなら設計コンペをやりたいという子がいたり、

設計が苦手な子は今までと同じように

みんなでワイワイ研究をしたいという子がいました。

なんだか、少し対立模様になりそうな雰囲気でした。

みんな、この研究発表を楽しみにしている気持ちがよく分かったので、

どちらかの意見を採用して、楽しくなくなるのだけがわたしは嫌でした。

わたしは、みんながそれぞれ自分らしく関われたらいいなぁ。

そういう研究発表にできたら最高だなぁと思っていました。

 

そこで、いい案を思いつきました!

設計コンペをやりたいと言っている子に、

そのとき話題の建築物をモチーフに制作を行い、

併せて何か研究発表を進めようと相談しました。

 

すると、設計コンペをやりたいと言っている子が

伊藤豊雄氏の「ブルージュ・パビリオン」を案として探してきてくれました。

ベルギーのブルージュに建てられた門型のモニュメントで、

ハニカム構造という当時は新しい構造システムを採用したものでした。

通り抜けるだけのモニュメントではあるものの、

造形的にも構造的にも奥が深いものでした。

研究発表には持ってこいのナイスアイデアでした。

 

そこで「ブルージュ・パビリオン」を実寸大で段ボールで

再現、制作することにしようかと思いました。

実際はアルミを用いた構造であったのですが、

紙で再現することができるのかという研究を行うことにしてはどうかなと。

 

すぐ他のみんなにも提案しました。

それなら、自分にもできることがありそう!と賛成の意見が多く、

それを進めることになりました。

 

 わたしはまず担当の先生と相談して、

作業を行う場所として製図室のひとつを確保しました。

作業時間を調整したり、スケジュールや道具や資金を管理したりしました。

実際、制作物を設置する箇所を学校の正門前にしたかったので、

その交渉を行ったりもしました。

 

授業ではなく、有志での参加だったので、

初めは、学科の3分の2くらいの子が加わってくれました。

残りの子にも、それぞれの子が得意そうなことを挙げて、

手伝ってくれない?と少しずつ声を掛けました。

 

初めは参加を見送っていた建築に興味が無い子も、

材料で使う段ボールの資材提供を受けようと企業交渉をしてくれました。

映像制作に興味があった友だちは、エンディングロールを流そうと

ビデオ撮影をしたり、楽曲を探したりしてくれました。

 

実験が好きな子は試作の段ボールの構造体を使って、

試験機で荷重実験をしてくれました。

 

レポート用紙に何枚も教授に相談しながら構造計算をしてくれた子もいました。

 

 

みんなそれぞれが、得意なことをしながら、

ワイワイ言いながら、

お菓子を食べながら、

ときには羽目を外して先生に怒られて、

そんな風に、

毎日夜中まで製図室で過ごしました。

 

日中の授業の居眠りの多さ!

優等生組のわたしも眠りこけました笑

先生方もその期間は大目に見てくれてたなぁ・・・

 

 

わたしは思いついただけで、環境を整えただけで、

具体的なことは何もしなかったけれど、

今振り返っても、わたしが生きてきた中で、一番わたしらしく、

わくわくして、楽しく過ごせた日々でした。

 

実際の実物大の制作は、建築学科の全員が参加してくれて、

みんな最高の笑顔で記念撮影をしました。

高専祭当日の研究発表のあとに流したエンドロールでその写真が流れました。

わたしがやりたい!と思って始めたことが、

友だちのたくさんの得意なことが重なって、

わたしが想定したものをはるかに超えるものができて。

 

さいこーでした!

楽しかったなぁー!

f:id:yuuuuu159:20210224094533j:plain

f:id:yuuuuu159:20210224094526j:plain